4年生

大学4年生なりますした。
14単位と必修・卒制を取れば卒業条件を満たします。まあ・・・悪かない。

そういえば学生補佐というのをやります。Processingについて教える講義で受講学生から質問があったら担当講師と補佐の私が答えに行きます。さながらカービィとヘルパーですね。誰がプラズマウィスプじゃ。

卒制の始まり・余談

さて、卒業制作は研究の側面があるのでゼミ選択時に研究の構想について考えました。とりあえずプロシージャル表現についてとゼミの傾向としては無難な着地だったと思いますが、元々は別の案がありました。

昨今だとAIがいろんな発展をしたりAIを使う人との間で問題が起こったりいろいろしてるわけですが、改めてAIに出来ないことは何だ?という傾向を分析することで、AIの構成されているアルゴリズムの仕組み上絶対に出来ない表現について考えてみようかと思っていました。
とはいえここまで言っておいても結局プロシージャル表現の着地にはなるのですが、研究構想の目的が異なっていたわけです。

これは何故かというと私の思い違いが原因でした。プロシージャル表現はAIにはその仕組み上不可能であると思っていたからです。
その時に考えていたアルゴリズムは画像生成AIにも使われている拡散モデルや、ChatGPTなどでも使用されている大規模言語モデルです。これらは提案に対し瞬時に完成形を与えることが得意ですが、一方で制作手続きそのものが欲しい場合を非常に苦手としていると考えました。
拡散モデルは元画像をガウシアンノイズに近似させる加工をしたあと、そのノイズを元の画像に戻すトレーニングをしているそうです。すごく大雑把な理解ですが、AIが行っている手順の考え方は公開鍵・秘密鍵と似たようなものだと思います。
そしてトレーニングを終えたAIには、適当なノイズ画像を与えると元の画像を推測して復元しようとする能力が身に付きます。
このAIに対して、Text 2 Imageならテキストという文字列データをベクトルデータ・ノイズ画像に変更したりして与えてやると画像が生成されると。そういう事らしいです。適当ですけど。

話を戻しますと、この仕組みではプロシージャ・・・つまり制作手続きを取り出すことは不可能に思えます。ノイズ画像から復元する手順を人間が得たところで意味はないでしょう。間違いなく人の脳では理解できません。
プロシージャル表現とは事物の法則性に注目し、それを抜き出して表現するやり方です。なのでAIに法則性を見出す能力がなさそうに見える以上、プロシージャル表現はAIに一定の優位性がある!と思い込んでいました。

その構想を粉々に打ち砕いたのはWIREDの以下の記事です。

プログラムは遺伝的アルゴリズムを使い、最も誤りの少ない等式を修正し(中略)最終的にその力学系を記述する一連の等式を導き出した。その結果、いくつかの等式は非常に見覚えのあるものになった――運動量保存の法則と、ニュートンによる運動の第2法則を表わしたものだ。

「物理法則を自力で発見」した人工知能 / WIRED.jp

なんとAIは数式を発見していました。それも運動量保存の法則を表す等式などです。
もちろんこのAIには発見可能な数式に制限があります。それは記事を見ても分かる通りです。

プログラムは、まず基本的な演算処理――足し算、引き算、掛け算、割り算と、いくつかの代数演算子――をほぼランダムに組み合わせることから開始した。

「物理法則を自力で発見」した人工知能 / WIRED.jp

以上のことから、このAIは少なくとも代数的に解くことが出来る数式しか解くことが出来ない可能性が高いことが分かります。
代数的に解けない数式とは一般的には5次以上の方程式の解の公式などです。アーベル-ルフィニの定理やエヴァリスト・ガロアのガロア理論によっても5次以上の方程式の解の公式が代数的に解ける範囲で存在しないことが証明されているようです。
その他にも代数的に解けない問題は恐らくたくさんあるのだと思いますが、一方で代数的に解けるかどうかも分からない問題という物も恐らくたくさんあります。それらの解決にAIが役立つかもしれないという記事です。

で、数式です。AIが数式を発見しました。数式とはすなわちプロシージャです。紛れもなく手続きそのものなのです。なので以上の記事は「プロシージャを自力で制作」した人工知能と言い換えることも出来るはずです。竜騎のOPのごとく構想が粉々に割れました。優位性なんてなかった。

そういうことがあってプロシージャル表現単体をもってしてAIに立ち向かおうという目的はボツに。世の中の流れに巻き込まれて無知のまま突っ込むと漂流しかけるというよくある失敗の話でした。

以上。明日も続けてAIについて思う事を書く予定。テーマは「AIは作者であるべきか、教師であるべきか」です。それを書いたらしばらくAIについて思う事は書かなくていいかな・・・。結局のところ素人の目の雑談ですし。